~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
『そんな、私ではないか。でも、ここにいるのは、こんな、私しかないのだ』
『寂しいことをおっしゃらないで。あなたは、あなたには小さ神の守護すらついているではありませんか』
『当人がなんというか、知れないがな』
ふふっと、サフィールが笑った。
『それはわたくしにもわかりません。王子』
後ろ手に縛られたまま、柱のひとつに全員ぐるりと鎖をかけられて、知らんぷりを決め込んでいたクリスチーネがポソッと言う。
『それよりどうやってここから抜け出す気なんだ。それを先に言えよ。褒めてやるからー』
そこは冷たい石牢だ。
座り込んでしまうと冷気が体温を奪う。