~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
彼女は取り合わない。
「こんな奴のわがままが良いなんて、マグヌスは馬鹿兄だ」
『だから、俺も何度も言った』
マグヌムがコキッと肩を鳴らした。いかにも人間くさい仕草で、笑いを誘った。
「きさま、いったいマグヌスがどれほどおまえの死にショックを受け、罪の意識に胸を痛め、うちひしがれていたと思う」
『礼は言わんと言ったはずだ。マグヌスは好きで俺の世話をやいてるだけだ。昔からな』
そうして、一人だけすっきりした顔つきをして、
『なにもないならさっさと引っ越すさ』
彼は人の姿を取ったまま、仰向けに泉に沈んだ。