~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
大量のあぶくがでて、泉の水位が上がった気がするが、ちゃんと、生きているんだろうか、という心配はもはやだれもしなかった。
「王子は、大丈夫ですか?」
「あいつの毒気に当たって前髪が溶けた」
「それはちょっと、ショックですね」
でもそれはすでにクリスチーネの魔法できちんと直されていた。
『馬鹿だな。私が馬鹿なら、あやつも馬鹿だ。ほんとうに。私はおまえに命だってくれてやったのに……勝手に自己撞着して姿を消してしまうとは』
兄はそれに近づき、いたわしそうに見た。
『馬鹿な奴め。こんな姿になりおって、本当にばかなやつじゃ』