勿忘草


大体なんで俺こんな所に来たんだか。




アイツが居なくなってから、もうここに来るのは辞めた。



むしろあの公園すら避けてきたのに。


こういう気持ちになると解ってたから。




なのにこうしてきてしまった。




自分でここに来たくせに、後悔してる。




そんな自分を思わず嘲笑(ちょうしょう)した。





そして1つ息を吐き、また元来た道に戻ろうとした時、何か聞こえた。






「…ーっ…ふぅ」



微かにだけど何か聞こえる。





人の声だ。



その声に戻ろうとしていた足を止める。






泣き声?




誰かが泣いているのか?



こんな時間に?


不審に思い、辺りを見回す。



花畑自体そこまで広くはなく、この花畑全体を見下ろせる場所にいるが、
月が隠れているせいで辺りは暗く、よく見えない。




大体人が居るにしてもこんな所で一体何をしてるんだ?


時間も遅いし。




まさか幽霊とか?


そんな下らない事を考えながら暗闇を見つめる。


すると勢いよく風が吹き荒れた。


花の香りが辺りを包む。




「ありがとう」




「!!」




どうやら聞き間違いでは無いらしい。


< 38 / 136 >

この作品をシェア

pagetop