勿忘草







待って…




まだ…ここにいたい。







けれどその思い虚しく、どんどん辺りが真っ白になってゆく。






いや…まだここにいたい…。






置いていかないで。





離れていかないで。





1人にしないでー‐






バチッ



気づけば私は現実に戻っていた。



朝日が登り始め、明るくなった部屋。




今のは…夢?




ゆっくりと体を起こせば枕が湿っている。



頬に触れれば涙で濡れていた。



どうやら泣いてしまっていたみたいだ。




「顔…洗わなきゃ…」




ベットから出て、そっとドアを開ける。



リビングに入り、音をたてないようにそっとソファを覗いてみた。



すると、穏やかに寝息をたてている総護君がいた。



そして改めて思ってしまった。

綺麗な顔…。



睫毛(まつげ)長いなぁ




静かに眠る姿はなんだか王子様みたいで…


魅入ってしまう。




けどまだ時間は6時半。


起こしては申し訳ないと思い、ゆっくりとソファから離れようとする。





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