~天へ送る風~

「ですが、私は星の巫女などでは……。特殊な能力も、特別な訓練も……なにも。星の巫女が何者で、何を成すのかも存じ上げません」


「うん、まあ……酒宴で皆の杯に酒を注いで回ればいいのだ」


「杯に酒を……ですか?」


「人生、その方が平和ではないか。それとも、ああいう風になりたいのか?」


 二匹の怪物はもはや正体を霧の中に隠している余裕もないようだった。


 王子の人の悪い冗談に、彼女は呆れた。


「ボクはこの一年間、花乙女ではあっても姫君なんかじゃないけれど、そういうことなら。で、でもボクがお酌するのは王子だけですよ」


 王子は気持ちよさそうに大声で笑った。
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