森のクマ野郎
振り返ってその人を確認すると、黒いスーツ姿の中年のおばさんがいた。おばさんは品が良い金持ちっぽい感じで、性格の悪さがにじみ出ている。
人のことを見た目で判断しちゃいけないのは知ってるけど、だけどこの人はまるでディズニーに出て来る悪い魔女のようだ。


「私(わたくし)は和泉家の総メイド長です。」

「はあ…」

「貴女は今日から和泉家メイドとして仕えていただき、和泉家一人息子であるリチャード様の側で身の周りの世話をしていただきます。」

「はぁ…い…」

「学校は明日からリチャード様の通われる森光学園(しんこうがくえん)高等部に通っていただきます。」

「はぁ」

「理解していただきましたか?」

「いえまったく」

初めて出会った人に突然そんなこと言われたって理解はできない、そんな私の気も知らずにおばさんは溜息をついた。


「これだから中流階級の人間は嫌だわ。物事を理解する力がないのかしら。」

「あんたがどこの誰なのかは知らないけど、私はこう見えても社長の娘なの!そんなにバカにされる筋合いなんてない!」

「ふっ、貴女何も知らないの?貴女の父親の会社は和泉財閥の子会社よ?それも下っ端も下っ端、いつ切り捨てたって構わない貧乏会社、」

「うっ」

「よくもまぁそんなしょぼくれた父親の会社を自慢したものね?恥ずかしいったらありゃしないわ。」

見た目のまんま、
どうやらかなり性格が悪いみたいだねこのババア…。
確かに贅沢な暮らしはしてないけど一生懸命お父さん頑張ってるのにそんな言い方なくない!?


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