エージェント
たぶんそんなことがわたしの表情に現れてたんだと思う。
「言ったでしょ?光希ちゃんがいてくれたら大丈夫って」
だって光希ちゃんがわたしを守ってくれるもん、なんて母さんは言うけれど、今のわたしの体じゃ守ることは無理。
きっと精神的な面なんだろう。
母さんが西じゃなく東に来ようと思ったのは、たぶん監視が少ないからだろう。
西だとすぐバレるけれど、ここなら、そう簡単には見つからない。
母さんって、かなり策士だな。
「ーーー疲れた」
ほぼ引きこもり生活なので、少し外に出るだけで疲れる。
まだ大きくないとはいえ、すこしポッコリした方お腹。
「…………」
ここに来ると、彼を思い出す。
しあわせな思い出以上に、切ない思い出を。