エージェント





わたしの場合、あの日、あの街で、彼に会ったことが、人生が変わるきっかけだった。





ぼんやりと空を眺めながら、そんなことをふと思う。


わたしも、人間になったなぁ…。





「ーーーあれ、未散?」



ぼんやりしたまま、自分の周りをみると、さっきまでそばを歩き回ってた我が子がいない。



「きゃははっ」



ーーあ、いた。



そう思い、声がした方を振り向く。








「ーーーーーーえ、」








「ほら、高いたかーい」

「きゃははっ」

「高いところは好き?」

「んはっ」

「可愛いねぇ」




そこには、忘れられない姿。

我が子を抱く、彼の姿。




「なんでいるのよ…」

「ふん。会いにきちゃいけねぇのかよ」

「だってっ!」

「バーカ」





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