エージェント





「ーーー朔羅っ!」




思わず駆け出した。

そのまま彼にぶつかり、3人で地面に倒れこむ。


「痛っ…。急に何するんだよ!」

「さくらっ…」

「チビ抱えてんのに危ねぇだろ」

「さく、」

「ってか、泣くなっつーの」

「ううっ…」



泣きたくなくても、涙は出てくる。

ずっと、会いたかったその姿が、ここにある。


「ママぁ」



わたしが泣き出したから未散は不安そうな顔をする。
よしよしと頭を撫でてくる。



「チビに慰められるって、相当だな」



そう言って朔羅はわたしと未散を起こす。



改めて朔羅をみる。


初めて会った時は金髪で、そのあとミルクティーカラーに変わった髪色は、ついにブラウンとなっていた。

黒スーツ姿は、元々カッコいい姿をより引き立たせ、大人の色気へと変わる。




でも、彼の雰囲気は変わらない。





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