放課後sugary time
威千都の手が止まってしまったせいで食卓は静まり返っていた。
さっきまで嬉しそうに食べられてたご飯なのに……。
「後悔……じゃなくて、ちょっと虚しいかなって」
「虚しい?」
「ご飯をね……作ってあげたの初めてだったから」
「彼氏は?」
「居たらキミを家には入れてない」
「はは。それもそっか」
わたしの胸のうちを聞いた威千都が人懐っこく笑ってみせた。
後悔じゃないってわかって安心したのか、また食卓にはカチャカチャと箸の進む音が鳴り始める。
そして、
「愛衣ちゃん、美味しいよ」
パクリとおかずを頬張りながらニッとまた笑ってみせる。
……やっぱり彼は聡い。
わたしが喜ぶ言葉を的確な間合いでくれる。
それに微笑み返しながら思うこと。
いつもと同じご飯もこうして喜んで食べて貰えると何倍も価値があるように感じる。
例えそれが7歳も年下の高校生の男の子でも……そんなの取るに足らない。
威千都の笑顔に絆されている自分が全身を埋めつくし始めて居た。