放課後sugary time
一夜の世迷言
あれから威千都はわたしが作った有り合わせの夕食にぱくついていた。
美味しい美味しいって幾度となく言いながら。
そんな彼を向かい側から見つめながら、ずっと友達に言われた“食べさせる相手”って一言が頭の中を埋めていた。
そしてこっそりと溜め息を一つ。
まさか初めて手料理を食べさせる相手が高校生の男の子だなんて夢にも思ってなかった……。
罪悪感の代わりに虚しさが胸中を駆け巡る。
おかげでさっきから箸を握ったままで食事が一向に減らない状態だ。
「愛衣ちゃん」
「……なに?」
「やっぱりまた……後悔してる? 俺のこと」
目の前でテンポ良くパクパクと食事を進めていたはずの威千都がわたしを射るような眼差しで見つめていた。
綺麗な二重をした円い瞳が真っ直ぐにわたしだけを捕えて見透かしている。
咄嗟に答えられないわたしにさっきまで嬉しそうにご飯を食べていた表情が曇り始めた。
彼は聡く素直だ。
だからこちらの感情の機微を敏感に感じ取ってしまう。