チャーリーズエンゼルパイ
繁華街から少し離れた静かな場所に、その森永探偵事務所はあった。
探偵事務所というので、どこかのビルの一室にでもオフィスを構えているのかと思っていたが、三人の目の前にあるのは『普通の住宅にただ看板を付けただけ』といった、なんとも雰囲気の乏しい佇まいだった。
「何これ、普通の家じゃ無いの?」
最初から、スリルとサスペンスの匂いなど微塵も感じられない展開に、子豚が不満をこぼすと、男は右手で頭を掻きながら笑って答えた。
「いやあ~♪事務所といっても、ここは住まい兼用なものでね、生活感がにじむのは勘弁してよ♪」
しかし、玄関をくぐれば、リビングには依頼者の接待の為のソファとテーブルのセット、そして隅の机にはパソコンと調査資料であろう山積みにされたファイルが目に入る。
「へぇ~。一応、仕事はやっているみたいね……」
きょろきょろと辺りを見回しながら、てぃーだが呟く。
「まぁ、人を雇おうという位だからね♪
三人共、そこのソファに座って。今、何か飲み物を用意するよ♪何がいい?」
「ビールちょうだい♪」
男の問い掛けにすかさずそう答えるひろき、更に子豚が続いた。
「私、飲み物よりラーメンがいいわ!トンコツで!」
「え?……トンコツラーメンにビール……?」
ここをラーメン屋か何かと間違えているのかと、怪訝な表情で聞き返す男に対し、てぃーだが呆れたような顔で言い直した。
「三人ともアイスコーヒーでいいわ……」
「変わったコ達だな……」
男は、子豚とひろきを見ながら少し不安そうに呟くと、くるりと向きを変え奥のキッチンの方へと歩いていった。
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