Double Persondlity
そんな時
小林が冗談のように言う。



「おーい出てこいって言ったら出て来れば楽なのに」



「けどそんな事で来たら何かアイツらしくないよ。アイツはある時に勝手に出て来るからさ。こっちの事も考えずに…」



「もしかしてアイツ…今出ようとしても出れない状態なのかも。刺されたダメージとかあったりすると有り得る」



「なのかな?オレには分からない」



「うーん。じゃあこうなったら警察が来ない事を祈るしかないな」



「祈れば来なくなるならオレだって祈るけど無理だ。絶対に来る。こうゆう場合は…テレビとかだとそうゆう感じだし」



「そーだなぁ…起訴して相手を訴えなければそれほど騒ぎにはならないと思う。もしお前が訴えるって言うなら仕方ないけど」



「訴えるなんてしない。事情も分からないし…大袈裟になるのは色々面倒だから」



「と言っても警察に事情聞かれて答えられないのはマズイな」



「はっきり分からないって答えた方がいいのかもしれない。下手に余計な事言ったら変に思われるし実際何も覚えてない。刺されたショックでその日の記憶が無くなるって事ってないのかな」



「ショックで何も思い出せないってのはある話だ。一生思い出せない人もいればいつか思い出す人もいる」



「あのさ…オレもそうゆう事あったよな。過去のある時期が途切れたように記憶が無いって事。その記憶はアイツだけが知っていて、オレは分からない。いくら思い出そうとしても…」



「無理に思い出そうとしても駄目だ…」
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