『月の唄』

私はゆっくり起き上がり、全身を映し出す大きな鏡を見る。
胸に傷は無く、血も出てない。
でも髪はボサボサだし、ちょっと目が赤く充血している・・・イヤだな。
それに、私の肩にはカエルが乗ってるし。
ちょっと顔色も良くない・・・また化粧に時間かかりそう。
 

・・
・・・
・・・カエル????
「きゃああああああああああああっ!」
「うわぁあああああああああああっ!」
私がおもいっきり悲鳴をあげるのと一緒にカエルも悲鳴をあげた。
あまりの驚きに私はおもわず尻もちをついた。それと同時にカエルは私の肩からピョンと飛び降りて床にペタッと器用に着地する。
何?何?何?何で私の部屋に・・・私の肩にカエルが!?
ドンドンドン!!!
その時部屋の扉を叩く音がする!
「何?美月?どうしたの?入るよ!」
部屋の扉を開けて入ってきたのは、友達の詩織だった!
私は床を這いずりながら詩織の足に抱きつき、床を指差した。
「詩織・・・カ・・・カエルが・・・」
詩織は一体何が起きているのかわからないといった表情で、私の指差した方向を凝視する。
「はぁ?カエル?・・・カエルなんてどこにいるの?」
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