『月の唄』
目の前には長身で髪の長い男の人がたっている。
きれいな髪・・・さびしそうなのに、とてもやさしい瞳。
男は私に手を差し伸べてくれる。
私は気付くと森の中にいた。
森には高い木々が緑の葉を左右に揺らして合唱している。
 
ざわざわ、ざわざわ
 
私は男の手を取り森の奥へと進んでいく。
男は私に何も話し掛けてくれないけれど、とても温かい手が優しく私の手を包んでくれている。
わたしはたずねる。
 
「どこへいくの?」
 
男は答える。

『君の望むものをさがしに』
 
わたしはたずねる。
 
「どうしてあなたの手はこんなに温かいの?」
 
男は答える。
 
『君が不安にならないように』

わたしはたずねる。
 
「あなたは誰なの?」
 
男は答える。
 
『わたしはミチシルベ』
 
わたしはたずねる。
 
「私の望むものって?」
 
男は答える。
 
「・・・・・・ツキノウタ」
 
私の目の前が真っ白になる・・・『月の唄』
 
 
 
そっか・・・私・・・月の唄を・・・さ・が・・さな・きゃ・・・
 
私はゆっくり目を開く。
高い部屋の天井がゆっくり私に迫ってきて、止まる。
ここは私の部屋。
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