ディア フレンド
この街とも少しの間さよならか・・・
少し切ないな。アタシはいつもの景色を見つめる。
名残惜しいが駅に入る。思うように足が進まない。
アタシはゆっくり切符を買う。時間までにはもう少し余裕がある。
ふと携帯を開く。メールは・・・来てないか。
アタシは泣きたい気持ちを噛み殺して改札口を通ろうとする。その時・・

「杏南!!」 

アタシが今、1番聞きたかった声が聞こえた。アタシは反射的に振り向く。
目の前には茉那の他に絵莉・嘉代が立っていた。
アタシは嬉しさと寂しさのあまり心で締め付けていた何かが切れた。
そして、涙が一気に溢れて来た。

「杏南!行ってらっしゃい。」

「寂しくなったらメール頂戴ね☆待ってるから。」


「杏南。あんたなら大丈夫!いつでも連絡しなよ」

3人とも涙を堪えている。アタシは声をあえて何も言わない。
アタシは前を見つめる。そして、高く右手を挙げ手をひらひらさせる。
肘で涙を拭う。そして、顔を上げ階段を下りる。
丁度電車が来ていた。それに急いで乗り込むと席を確保する。
一応、指定だ。何時間掛かるのかなぁ・・・


アタシはこれから始まる、出会いに少し期待しながら大好きな町を後にする。








そして、今に至る。アタシは一応、島根に着いたが家までかなり遠いため電車を
乗り継ぎしている。島根ってトコが何かありそうだ・・・
大方、家みたいな和風な家なんだろう。
ちょっと不安になって来た。そもそも婆っちゃが花嫁修業だけの為に島根まで
行かせる訳がないのだ。
はぁぁ・・・・とにかく。寝よう・・・アタシは充電のために一眠りすることにした。ふと夢で女の子に話しかけられた気がした。




< 2 / 182 >

この作品をシェア

pagetop