ディア フレンド
次の瞬間、目をカッと見開き、静かに唱える。

「我、朱雀を従える者。炎(えん)よ、燃え滾(たぎ)れ!!」

オリークの手の中から炎がリボンのように踊り、オリークを包む。
その炎が今度はオリークの頭上で大きな炎の塊になり、それが徐々に朱雀のような大きな鳥の姿に変わる。
これが・・精霊の力・・・・アタシは目を離すコトが出来ない。
自分もこんな風にできるのだろうか・・・

「これがうちの基本の力ですよっ!さぁ、杏南様も生み出してみて下さいよ!!」

「どうやってよ! アタシ分かんないし・・・」


オリークは目を丸くしてる。そんなに変なのかな・・
なんか自分で恥ずかしくなって来た。アタシは俯く。

「杏南。大丈夫、オリークは召喚されたことが嬉しくて興奮してただけ、杏南を見下してた訳じゃない。」


アタシは顔を上げる。オリークが心配そうにアタシを見つめる。
オリークは素直なんだ。情熱系なオリーク。
アタシの1番好きなタイプの子じゃないか!アタシは笑顔を作って話す。

「オリーク、どうやんの?教えて♪」

オリークの表情はみるみる明るくなり笑顔になる。
なんか、ホントに炎みたいな子だな。

「えっと、最初は狗獣刃があれば・・いいんですけどねぇ・・・」

「ここにある。これを使いなさい、」

有李栖は手に握っていた大きな剣をアタシに手渡す。
透き通った刃、柄には翡翠が埋め込まれている。これが狗獣刃・・・
凄く重い・・・両手でないとアタシは握れない。

「杏南様、じゃぁ。行きますよ。ここからはうちとのタイミングになります。今から朱雀を剣に飛ばします。タイミングよく剣の中に取り込んで下さい。」


「呪文はわたしが教える。詠唱して、」

アタシはこくっと頷き、全神経を腕と剣に込める。失敗はなるべくしたくない。
だから、感覚を研ぎ澄ませる。



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