君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
地区予選の幅跳びで、
努力の末、上位に食い込んだ恭一は、

やっと納得がいき、気が抜けたのか、
それ以降、距離は伸び悩み、

いつしか記録は
絶好調の後輩に越されていった。


そんなある日のことだった。

「恩田!おまえ800メートルを走ってみないか?」

「え?今?」

「総体をめざしてだ。」


突然の本多の意見で
試しに走ってみることになり、

普段からバスケの練習中、走りまくっていたので
長距離は苦ではなかったが、

タイムを競うとなると、話は別で…

短距離でリベンジもしたかった私は、こう言った。


「あたしより、短距離の速い子がいた時は、死にもの狂いで練習します。」


その日の帰り道

「おまえ、種目変更するの?」

「私はしたくないんだけどね。」

「…幅跳びはさぁ、久保になりそうだよ。」

恭一はつぶやく様に言った。


「…ショック?」

「いや。久保が頭角をあらわした頃に覚悟してから。」

「そうだったんだ…」

「でも、これで走ることに専念できる!」

「そうだよ!あたしもね、本多に、スパッと言ってやった!短距離でって!」

「俺ってさ、基本的に欲張りだから、ホントなら全冠とイキたいとこだけど…こうなったら、絶対メダル獲ってやる!見てやがれ!」
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