君の影をみてる〜幼なじみの恋〜
「あんたには関係ないでしょ!」

「あるんだな〜これが!君がタイプに拘らないなら、俺も彼氏になれる可能性があるってワケだ!俺、欲しいものは、何が何でも手に入れたい性分なもんで…頑張っちゃうよ!」

その瞬間、私は勢い良く、男の顔を見上げた。

そして、

「きょーちゃん?」

とっさに出た自分の声にハッとして、正気に戻った。

「え?」

「ううん!何でもナイ。」

「…君ってさぁ身体弱いの?また顔色悪いよ。」

私の呼んだ名前は、
男の耳には届かなかったのか、
同じ名前なのか?


「今日、車で来てるから送ってくよ。」

「違うの!」

「?」


この男が放った言葉は、
昔、恭一から聞いた言葉と同じもので、

一瞬、恭一とこの男が、タブって見え…。


「知らない人の車には乗っちゃいけないって、お母さんに言われてるから。」

「…なるほど、そう来たか。ふぅ〜、じゃあ、何か書くものある?」


自分でも驚いたことに、

私は、手帳のページを無造作に広げると、
ペンと一緒に、素直に男に差し出していた。
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