月夜の散歩
「振り返るな!前だけ向いて歩け…あいつだけ見てろ」


そう言われあたしは振り向かず言う


「ありがとうお兄ちゃん…大好きだよ…」


あたしは初めて兄に感謝と気持ちを伝えた


「くっ……早く行けよっ…」


あたしは歩き出す冬夜へと向かって



………
……


遠ざかる陽菜の背中を見ながら思い返していた


陽菜との抱擁を見せつけた時に感じた刺すような視線


あれは怒りに満ちていた


そろそろ動くな…そう思っていた


次の日…部屋から出て来ない陽菜の為に何日か分の食料を調達しマンションへ戻ると予想どうりあいつはいた
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