月夜の散歩
「あたしね…ホテルで冬夜を見たとき悲しくて涙が出たの…それに動くことさえ出来なかった」


「悪かったな何も言わなくて」


「ううん…兄に言われたの好きだから嫉妬するんだって…誤解してごめんなさい」


「秦に叱られたよ冬夜が悪いって…面倒な事は嫌いなんだってさ」


「ふふっ秦らしいね」


「だろ?」


「本当はねもうこのまま離れようって思ってた…みんなからも冬夜からも」


冬夜は困った顔をしていた


「でもね冬夜の姿を目にした時思ったの…やっぱり好きだって」


冬夜がふっと目を細めて笑う


あたしは胸元のネックレスを指で触りながら微笑んだ
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