Time is gone
「分かったよ。今用意するから待っててくれ」
 明日のことを考えれば、早く家路に着きたかった。だが、これも社会人としての務めだ。
 
 会社を出た俺と友雄は、靖国通りを歌舞伎町に向かい歩き出した。会社が西新宿に位置するため、飲むときは自然と歌舞伎町となる。
 日本有数の歓楽街。金曜日の夜ともなれば、そこは様々な人々で溢れ返る。大学のサークル集団、すでに千鳥足のサラリーマン、浮浪者、早口で喋る外国人にキャバクラや風俗のキャッチ、そして重役出勤のホストやキャバ、風俗嬢。
 一見何の共通性もない彼、彼女らを、この街は人間という大きなくくりで一つにしてくれる。色とりどりのネオンが、道のあちこちから漂うドブ臭さが、そうさせているのかもしれない。……いや、この街全体に漂う、様々な欲望がそうさせているのだ。
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