ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 『銃を寄越せ』『そっちもだ』


 発したのはたったの二言だったが、間違いない、兄貴を尾藤グループに渡した時にいた男だ。


 ヤバイぐらいのセクシー ミドル ナイス ガイ、あだ名が長いぜチクショー。


 思わず振り返りたくなる衝動を必死に抑え、俺は今日ここへ来た目的を伝えた。


「尾藤信也殺害について知りたい。報告書にあんたの名前があった。」


「俺の名前?」


 心当たりがないとでもいうように、男は白々しくとぼける。


「『捜査官K』って… あんたのことだろ?」


「俺のことだ。」


 あっさり認めた、なんなんだコイツ。


「だが尾藤の息子の件が、お前に何か関係があるのか?」


「とぼけんなよ。今回の兄貴の拉致はその報復なんだろ?」


「報復ねぇ」


 男は意味深な調子で俺の言葉を繰り返す。


「信也と兄貴に何があった?」


「問題はそこじゃねーんだな。」


 また意味深、もったいぶりやがってコイツ… 暇なのか?


「じゃあ何だよ?」


 なんだかとてつもなく苛立ってきたけど、あくまで冷静を心がけて問う。


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