ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「兄貴のと、替えて」


 受け取りながらも、交渉してみた。


「断る」


 兄貴は素っ気無く言い放つ。


 ですよね。


 これ、兄貴の予備かなんかかな… もしや、みゆっちの? ああでも、だとしたら、俺に貸したりしないよな。


 などなど、気を紛らせるため、あれこれどうでも良い事を考えながらも、装着完了。


 が、


「そうじゃない、皆人、こうだ」


 そう言って、兄貴がストッキングの先をキュンと上に引っ張った。


 頬肉が押し上げられる感覚に、思わず顔を顰める。


 ストッキングのせいで、はたから見たら俺の表情に変化はないだろうけどね。


 兄貴は遺体と化した見張りの男の傍らに、片膝を落としてしゃがむと、男の胸ポケットからカードキーを抜き取った。


 立ち上がって、それをドア横のカード挿入口に差し込むと、カチャリと部屋のロックが解除された。


 俺がとってを握り、音を立てないよう慎重に、そっとドアを開く間、兄貴は再びしゃがみ込んで、ご丁寧にカードキーを男の胸ポケットに戻している。


 兄貴は一体何してんだ!?


 応援でも呼んだんだろうか。


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