君まで2ステップ
真っすぐすぎる晴輝の声があたしの耳にすっと届いて響く。


「も~…っ…
晴輝のバカー!!」

「え?なんで…。」

「だってワケ分かんないもん!!
ずっと晴輝はちっちゃいおこちゃまだって思ってのに、いきなりあたしよりちょっとだけだけど背、高くなっちゃってるし、声だって中学生のときより低くなってるし、なんだか妙に優しくなったし、力だって強くなってるし、全然あたしの知ってる晴輝じゃないっ!!」

「え…?お前何言って…?」

「だから…困るんだもん…。」

「どういうこと…?」

「だからっ!!どういう風に接すればいいかわかんないっつってんの!!
もー…分かんないっ…!!分かんないー!!」

「泣くなよ…。つーか落ち着けって…。」

「落ち着いてらんないんだもん!!」

「じゃあ…。」

「え?」



掴まれてた腕がぐっと引っ張られる。
バランスを崩したあたしを、晴輝の胸が受け止める。
その瞬間にあたしの腕から離れた晴輝の手。
その右手はあたしの頭に、そしてその左手はあたしの背中に回る。



「こうすれば少しは落ち着く?さっき…こうしてたら泣き止んだだろ?」



優しい声でそう呟く晴輝。


そういう声で言わないでよ。
ずるいじゃない!!

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