空に叫ぶ愛

そして、彼に背中を向けると痛む足を我慢して一歩踏み出した。


――パシッ…


え……


いきなり、掴まれた手首を見る。



「無理せんでいいけん。……よいしょ、っと」


「ちょ、え?…きゃっ…」



なんで?

なんで、なんで、なんで?


私は今、宙に浮いてる。

彼に、属に言う『お姫さま抱っこ』をされているから。



「ちょっと!降ろしてよっ」



そう言いながら足をバタつかせる。


だけど、華奢に見える彼の力は半端じゃなく…降りれない。



「ちょ、暴れるなや!…ただでさえ重いんやけん」


「は?」



あばれるのをピタリとやめた。


思った以上に近くにある彼の顔に胸がドキッと音を立てる。


彼の顔を見ると、彼は何やら勝ち誇ったような顔をしていて。



「最初からそうやってジッとしとばいいっちゃん。暴れんどけば軽いやん?」



彼はそうやって歩き出した。


私はどうやら彼の策略にハマったようだ。

重いって言ったのは彼の作戦で、私を静まらせるため言ったのだろう。


初めて会ったのに、私の全てを彼に見透かされているみたいで。


悔しい…


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