空に叫ぶ愛
どうすれば降ろしてくれるだろうか…
「あっ、自転車は?いいの?」
「ん。後で取りに行けばいいし…」
ダメか…
私が再び作戦を考えていると。
「そういや名前は?」
「…愛」
「……愛。……あ、俺は金子空やけん。よろしくな!」
空は笑顔で言った。
おばあちゃんの笑顔が太陽みたいに穏やかで温かい笑顔なら、
空の笑顔は太陽のようで、でもキラキラ輝く星のようでもあった。
金子 空
私がこの田舎で初めて覚えた名前だった。
そして、
一生忘れられない名前となった…―――
私の運命を変えた日は、これ以上にないぐらい綺麗な雲ひとつない青い空の下が広がっていた。