空に叫ぶ愛
おばあちゃんと2人で駅近くのバス停からバスに数分乗り、降りた。
「ここら辺は田舎ばってん、いいとこばい?空気も美味しいし…」
おばあちゃんは私を気遣ってか、いろいろな話をしながら歩いてくれた。
私はそれを耳で聞きながら、目では遠くの空を見つめていた。
……綺麗。
壮大な緑の後ろにある青い空に真っ白の雲の美しい空。
田んぼに挟まれた道を歩く。
ほんのり香る土の匂いと若葉の匂い。
都会から来た私にはそれが凄く新鮮で。
「あれが、ばあちゃんの家やけん」
おばあちゃんが指差した先には、木で作られた二階建ての大きな家があった。
「今日から愛の家やけん“ただいま”っちゅうて帰ってきんしゃいね」
――ドキンッ…
おばあちゃんの言葉に私の胸はぎゅうと締め付けられ、喉の奥がツーンとした。
「うん……」
私の冷たい心に、
小さくて、優しい光が照らされた。
そんな感覚。
だけど温まるにはまだまだ足りない光。
きっと一生、温まることはない私の心。
冷めきった心のまま、私は人生の終わりをただひたすら待つ。
寂しくなんか、ない。
心細くなんか、ない。
このおばあちゃんと私、血がつながっているんだよね?
私もおばあちゃんみたいに優しい太陽のような笑顔を持っていたら、まだすこしはマシな人生を歩んでいたのかな…