空に叫ぶ愛


……気持ちいい。


二階にある約七畳の和室が私の部屋として用意してあった。


窓から吹き抜ける風が最高に気持ちいい。


下を見下ろせば、さっき私がこの家を見上げた場所が見える。


庭には紫陽花が咲いていて手入れがちゃんとされていることがわかる。


おばあちゃんがしてるのかな?


窓に背を向け、これから私が過ごして行く部屋を見渡した。


机とベッドは私の荷物。

本棚とその本棚に並べられた本達はもともとこの部屋にあったもの。


……読まないんだろうな。


そう本棚と本達を眺めながら思った。


段ボールが数個。

まだ片付ける気にはなれなかった。


だから、私は部屋を出て階段を降りておばあちゃんのところに向かった。



「おばあちゃん…」



台所で調理するおばあちゃんを呼んだ。


ぎこちないのが自分でもわかる。



「ん?どうしたん?」


「…外に出てもいい?」



何となく、外に行きたかった。


ホント、何となくだけど…
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