幕末異聞―弐―
弐拾壱章:禁門の変-弐-


「長州の奴ら、一部は嵯峨野付近に潜伏してる様子。おいらの情報が把握されてね今が討ち時かと」

――それでいいのか?

「お上からも出陣時期は薩摩と会津に一任するとお達しを頂いております」

――自分は出て来んのか?

「天子を守るため、死力を尽くすよう将軍直々の言葉も添えられております」

――天子を守る?天子の名を借りて自分を守って欲しいだけだろ…

「では明日、出陣の旨を諸藩に伝えましょう」

――終わらぬ争いを続けて何の意味がある?

「「「承知」」」


――結局言いなりになる自分…


吐き気がする。




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