六年一組、本紛失事件
「渋革さんにします」

 と、続いて小森も推薦した。

「やだ、何で私を選ぶの? 他にもいるでしょ。適任者が! 美田さんがいいんじゃないの! 私から推薦します!」

「おいおい、渋革! 学級委員の権限で、図書委員はお前で決まりなんだよ」

 と、高基教諭は言った。

「でも、私、用事があるし、こんなことはやれないです」

 あきらかにひとみは表情を崩し、嫌ということを顔で表した。

「反論は受けつけない。図書委員は子吉沢と渋革で決まりだ!」

 渋革は不満らしく、口をとがらしたまま黙った。

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