六年一組、本紛失事件
「保健委員やりたい人は?」
美紀子はぶっきらぼうに言った。
保健委員の仕事は体の調子が悪くなった生徒を保健室に連れていくのが役目だ。基本的にはそれだけである。誰も手を上げる者はいなかった。
「馬屋君にします」
と、美紀子は言った。馬屋福士はガリガリで顔色がいつも悪く、虚弱体質である。銀縁メガネのレンズがいつも汚れていて、女子からは嫌われているのだ。
「えー! 何でだよ! 俺が保健室に連れて行くのかよ! 無理だよ」
その通りである。いつ倒れるかわからない馬屋が保健委員なんて変である。しかし、学級委員の権限で変えることはできない。
美紀子はぶっきらぼうに言った。
保健委員の仕事は体の調子が悪くなった生徒を保健室に連れていくのが役目だ。基本的にはそれだけである。誰も手を上げる者はいなかった。
「馬屋君にします」
と、美紀子は言った。馬屋福士はガリガリで顔色がいつも悪く、虚弱体質である。銀縁メガネのレンズがいつも汚れていて、女子からは嫌われているのだ。
「えー! 何でだよ! 俺が保健室に連れて行くのかよ! 無理だよ」
その通りである。いつ倒れるかわからない馬屋が保健委員なんて変である。しかし、学級委員の権限で変えることはできない。