彼と私の関係〜もう1つの物語〜



美人ではないけど柔らかな雰囲気と穏やかな笑顔。


仕事帰りのサラリーマンは母の姿に癒されて帰って行く。


実際、母の葬儀にはたくさんのお客さんが来てくれて、皆母を忍んで私達兄妹に暖かい言葉をかけてくれた。


だけど、私達の知ってる母はいつも働いていて……


親子の繋がりはお金だと思っていたから。


ぽっかり空いた穴はすぐに塞がると思っていたけど、私の胸を暖かくしてくれるのは……



――なぜか1度しか見た事のない彼。



もう一度会いたいと何度……


何十回……


何百回願ったのだろう……



初めて見た彼と同じようにドアにもたれかかり車窓を眺める。





< 9 / 393 >

この作品をシェア

pagetop