Bコース
「それでも由香さん、

『この子は私の所に来る運命だったんだよ。』

って言って、一人で産んで、一人で育てて。」


頬を涙が流れる。


悟の優しい手が、涙を拭いてくれる。


「由香さん、捨てられた子供だったんだって。
施設でずっと育ったから、家族うれしいって、本当にがんばって達也育ててたんだ。」


「うん、すごい人だったんだね。」


悟、そうだよ、由香さんは本当にすごい人だったんだ。


「そしたら、また男出来て、達也の事もかわいがってくれて、私も今度こそ由香さんが幸せになれると思ったのに。」


「どうしたの?」


「そいつ結婚してたんだ。」

「不倫だったんだね。」


「違うよ、悟。
不倫にもならない。
遊びだってあいつ言ったんだ。
かわいそうな女に夢見せてやったんだから感謝しろって。」


「小百合、手ダメだよ。」


いつの間にか、手を強くにぎりしめていた。


悟に優しく開かされる。


手の平は、爪が食い込み、赤くなっていた。
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