Bコース
「そいついなくなってから、千春がお腹にいる事わかって、私男さがしたけど。
何もかもうそだった。
名前も会社も。」


涙が溢れる。


落ち着け。


悟にちゃんと話ししたい。

「それなのに由香さん達也の時と同じように、運命だって笑って…。
子供二人になって、由香さんがんばって働いてた。
大変そうだったけど、幸せそうだったんだ。
それなのに………。」


「ゆっくりでいいから。」


悟、悟、悟。


「風邪が長引いてなかなか熱下がらないっていいながら働いてたんだ。
私、気づかなくて。
肺炎だなんてわからなくて。
肺炎で死ぬなんて知らなくて。」


「小百合。」


悟が強く抱きしめてくれる。


強く、強く、痛いぐらいに抱きしめてくれる。


「やぶ医者が、診せにくるのが遅かったとか、肺炎は死亡の上位だとか、年間八万人ぐらい亡くなるとか言ってさ
知らないよそんなの。」


「うん、そうだね。
年間八万人なんて知らないね。
小百合にとって、大事な人で、達也と千春のたった一人の母親だった人。」


そうだよ、悟。


大事な人だったんだ。


とても大事な人だったんだ。
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