恋をはじめます。
恋のはじまり

平沢葵×山本さくら

山本さくら。

今日から高校生!

「高校生と言ったら!おしゃれに恋愛にぃ~♪」
マンションの階段をのろのろと降りながら浮かれている私。

「さくらー!急いでよ!あたしも遅刻しちゃうじゃんっ!!」
車の窓から手を振っているのはしっかりものの姉・めぐみちゃん。

めぐみちゃんは可愛くて、なんでもできて、優しくて・・・私の憧れのお姉ちゃんです!
「今行くっ!」

階段を一気に駆け下りたその時・・・

ツルッ!!

「わわっ!!」
視界が一回転。

ドンッ!!

ぎゃっ!!
「痛ったぁ~」

「も~またやってんの!?いいから早く乗って!」

私はいつもこんな調子で15年間生きてきた。
ドジでアホで。
それでも毎日幸せですっ!


車の窓から流れ行く景色を見ながら、うとうと。

どんな世界が待ってるんだろ・・・
楽しみだな~
どうか無事に高校生活を送れますよーに!

「着いたよ」
「あ、ありがとう」
「じゃ、頑張ってね!」
「・・・はい!行ってきます」

元気よく返事をし車を降りた。

友達、たくさんできるといいな・・・!
そんな淡い期待を胸に、校門を通過。

「ぉーい!さくらぁ~♪」
「のどかちゃん!!おはよう♪」
「おはよっ! ねね、あたし達同クラだよっ♪」
「良かったぁ♪」

のどかちゃんとは小学校からの仲良しで、いわゆる幼なじみ。
いつも私の面倒を見てくれる姉的存在。

「のどかちゃん、教室って・・・」
「きゃーっ!葵クンよ!」
「えー!?うそうそ、どこっ!?」
「葵クーン♪」

な・・・・何!?

ドンっ!

「きゃっ!」
「痛ッ! なによあんた、邪魔!」
「す・・・すぃませ・・・」

何!?この人ぉ~!!!

「さくら!だいじょーぶ?」
「うん。平気」

ホントはちょっと左肩が痛むけど、嘘をついた。

「ね・・・葵クンって?」

「さくら知らないの!? すっごいイケメンって噂の平沢葵!!平沢クンを追ってきた人も、結構いるみたいだよ」

な・・・何それ!? すご・・・私とは正反対・・・

「すごい・・・ね」
「でも女遊びもすごいらしいよっ」
「そうなんだ・・・」

なんか・・・やだな。


< 1 / 24 >

この作品をシェア

pagetop