恋をはじめます。
ドキ・・・ドキ・・・

ふぅ・・・やっと平常心になってきた。

もう、平沢クンの隣にいたら死んじゃいそーだよ。

「んーっ 終わった。おい一輝、帰ろーぜ」

平沢クン、終わったんだ! 早・・・

あ!!消しゴム返さなきゃ!!!

「・・・ぁのっ! 平沢っく、その・・・消しゴム・・・ッ」

ひゃ~!!また声がぁ~!!

「んー? あぁ。やるよ」

「へ?」


思わず出てしまったなんともマヌケな私の声。

「シャーペンのお礼っ♪」

ズキューンッッ!!!

「はぅっ」

あれ?なんだか急に熱くなってきた・・・。

なんか・・・も・・・ダメ・・・。

クラッ

「おい、大丈夫か!?」

そんな声も耳に入らず。

バターンッ



    ・・・

「・・・ん」

あれ・・・私・・・?

「おっ やっと起きたか」

え? 平沢ク・・・ン!?

「ぎゃーーーー!!!」

「おいおい、んなあからさまに避けなくたっていいじゃん」

あ・・・私、なんてことを!!

またやってしまったぁ!

「ごめっなさっ・・・!」

うわぁーん! だから男の人って苦手なのぉ!!

「じゃ、山本。帰るぞ」

「はぃ?」

なん・・・? 

「だーかーらっ、帰るぞっつってんの!!」

わた・・・私が平沢クンと一緒に下校を!?

「もう6時だし・・・」

「うそっ!? 平沢クン・・・ごめんなさっ・・・ずっと待たせてて!!」

も~私ってば 何やってんの~!!!

「や、別にいーよ。つーかさ、お前の下の名前は?」


「ぇと・・・さくら・・・ですッ」

「さくら!可愛いじゃん♪」

ぎゃっ!! なんだかこの人がモテるの分かった気がする~!


「さーくらっ♪手、繋いで帰ろっか♪」

・・・は!? 

なんで?! どれがどーなって手を繋ぐわけ?!

「なん・・・っ!?」

私の言葉をさえぎるように繋がれた手。

平沢クンの手は、ちょっぴり冷たかった。
< 3 / 24 >

この作品をシェア

pagetop