知らなかった僕の顔
台所にある醤油の小ビンを困惑したままの顔で手に取ると、ケーキを食べている森若ちゃんが言った。


「醤油?どうするの?」

「貸してって言われた…矢島さんに…」

「え!見たい!どんな人か見たい!まだ玄関にいるの?」

「いるけど…会わせたくない」

「なんで?見たいよ!」

「いいから…ここにいて」
僕は、力なく言った。



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