愛しキは死とそノ唇ト
一、花ほど愛しい


─京都・島原


止まぬ雨をにらみつけ

私は闇の向こうの人を見つける


「きはってくれてうれしいわあ」


女将の妖艶な声がここまで届く

障子の向こうに見えゆるあの長身の御方は


もう、あやつしか居らぬ


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