夢を正夢にする夢
汗でひっついた前髪を、楠木は怠そうに手で触っている。

触りながら、眉間にシワを寄せて火野上を物凄い目付きで睨んでいる。

その姿が…

あのぉ…

あまりに格好よくて……

あまりに格好よくて………………

くぅ〜〜〜〜

こっちまで、眉間にシワが出来ている状態だ。

ふと横を見ると、響加も眉間にシワを作っていた。

多分……

いや、確実に、私とは違う理由の眉間シワ………だとは思いますけれども………



「…だから、どういうつもりだよ……」

楠木が口を開いた。

私たちは、先程居た客室に戻ってきていた。

何だか、男女で向き合って、まるでお見合いみたいだ……


………

……………

はっ!!!!

シマッタ!!!!!!

楠木の前に座るべきだったわ……w

なぁんて事を、こんなシリアスな空気な状態で考えているとは…

さすがに…

さすがに三人とも、思いやしまうまいっ!(笑)


「いやぁ…折角だから、巻き込んでしまおうかと思って…怒っちゃ嫌よ実ちゃん」

「こいつらには関わらないでくれって言ったはずだろがっ!…それを……家にまで連れてきやがって…」

「仲間は多いに越した事はないと思ってさ〜お前に言ったら反対するだろ?だから、こう、こっそ〜〜〜りとだな」

「嫌に決まってるだろ! 勝手に仲間だなんて…」

「………お前…っっ………おい………センコウ…お前…何で………泣いて…………」






頭の中がぐじゃぐじゃになっちゃった…

な、何で……

何で泣いてるの?

私……何で……

確かに、不機嫌な楠木って、めちゃくちゃ格好よくてドキドキしてたけど……

今は、何だか……

違う感じに…

胸が…痛い。


《家にまで連れてきやがって》

《嫌に決まってるだろ! 勝手に仲間だなんて…》



胸が…

痛い。



胸が……

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