魔女の報酬3~封呪の守り人~
 背後から、ふわりと暖かな感触がメディアを包む。
 けれど、その感触にそのまま身をゆだねることができるほど、彼女は素直ではない。

「ロランツ! やたらに抱きつかないでって、いつも言ってるでしょ」

 ロランツは彼女の抗議を意に介さず、逆に問いかける。

「何を考えている? そんな哀しそうな顔をして」

「だれがっ! 哀しそうな顔なんて、してるのよ!」

「そうか?」

「そうよ。だから、放しなさいよ」

 けれど、ロランツは腕にいっそう力を込め、ますますメディアを胸の中に抱き込んでいく。

「放したら、何だか消えてなくなってしまいそうだ」

「別に消えてなくなったりはしないわよ、幽霊じゃあるまいし」

 耳まで真っ赤になりながら、メディアが抗弁すると、ロランツの腕から力が抜けた。やっと、解放されるかと安心したのも束の間、くるりと向きを変えさせられる。

「メディア、君の両親の話が聞きたい。僕にだけしゃべらせるなんて不公平だ」

 青い瞳が真剣な色を浮かべて、彼女を見つめる。
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