魔女の報酬3~封呪の守り人~
 メディアは、内心ため息をついた。こういう時の彼には、ごまかしは効かない。

「別にたいして話すことはないわ。父さんは、私が生まれる前に死んだって聞いてるけど」

 そうだ。そのときは、さすがのあの人も、ずいぶんつらそうな顔をしたっけ。だから、それ以上は何も聞けなかった。

「母さんは……、母さんは、今は行方不明中」

 これにはロランツは驚いたのか目を瞠った。強い口調で言う。

「なぜ、早く言わない? 行方不明なら、探さないといけないだろ?」

 意外な王子の剣幕にメディアは気圧されながらも答える。

「いつものことだから、探す必要なんてないのよ。どこで何してるやら。ときどき、ふらっと顔見せて、そしてまたどこかへ行ってしまうってのが、お決まりのパターン。いなくなっても、心配する必要なんてないのよ」

 しかし、ごく気楽げに告げられたメディアの言葉に王子は騙されなかった。青い瞳が憂慮の色を深めた。

「寂しかったのは、君だったんだな」

「何を言って!」

 図星を指されてうろたえたメディアは、ロランツの胸を拳で叩く。

「いいから、放しなさいよ。雷、落とすわよ」
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