雪花-YUKIBANA-

会ったらまず何を話そう?


僕がどれほど君を探したか、

君はどんな気持ちでひとりの日々を過ごしたか。


ああ、でも、

顔を見たら言葉なんか飛んでしまうかもしれない――



そんなことを考えているうちに、病院の門の前に到着した。


タクシーを降りて地面を踏むと、膝がカチカチと震えていることに気づいた。


家から車で40分……こんなに近い場所に、彼女はいたんだ。


夜暗に病院のあかりがぼんやりと光っている。

そのわずかな光でも、比較的新しい建物だということが分かった。


入り口のところに、男が立っていた。

黒髪を短く切りそろえた若い男。


彼は僕と目が合うと、目を細めて微笑んだ。


「――…義、広?」


驚愕の声を僕はこぼす。


春の夜に風変わりな出会いをした彼が、

そこに立っていた。


< 236 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop