雪花-YUKIBANA-
会ったらまず何を話そう?
僕がどれほど君を探したか、
君はどんな気持ちでひとりの日々を過ごしたか。
ああ、でも、
顔を見たら言葉なんか飛んでしまうかもしれない――
そんなことを考えているうちに、病院の門の前に到着した。
タクシーを降りて地面を踏むと、膝がカチカチと震えていることに気づいた。
家から車で40分……こんなに近い場所に、彼女はいたんだ。
夜暗に病院のあかりがぼんやりと光っている。
そのわずかな光でも、比較的新しい建物だということが分かった。
入り口のところに、男が立っていた。
黒髪を短く切りそろえた若い男。
彼は僕と目が合うと、目を細めて微笑んだ。
「――…義、広?」
驚愕の声を僕はこぼす。
春の夜に風変わりな出会いをした彼が、
そこに立っていた。