雪花-YUKIBANA-

義広はすべて了解したような笑みを見せて、こう言った。


「どうも。山野義広です」

「……」


知り合いの病院、というのは義広のお父さんが経営する、この総合病院だったらしい。


「驚いた……」


僕がそうつぶやくと、義広は


「俺の方がもっと驚いたっつーの。まさかこんな形で再会するとはなあ」


と、以前見せたような笑顔で言った。



それから義広は僕を病院の中へと案内しながら、ことの経緯を説明した。


桜子が事故にあったのは、今から3時間ほど前。

ちょうど日付が変わった頃のことだった。


たまたま現場に居合わせた義広は、軽症を負った桜子を病院に運んだ。


桜子はしきりに「大丈夫です」と繰り返していたらしい。


けれど事故現場は病院から目と鼻の先で、
ケガ人を黙って帰すことは、義広のプライドが許さなかった。



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