歴史の星空に飛び込んで


聞いたのに、沖田さんはしばらく何も答えなかった。

沈黙が重い。

ていうかいる?沖田さん?



「…………んなっ」




沈黙に負けて顔を上げると、沖田さんは優しく笑って私を見ていた。

まるで山南さんみたいだ。




「待ってたら顔をあげてくれると思って」



つまり一本とられたわけだ。むかつく。


沖田さんは私の頬をぐちゃぐちゃとにする涙を親指で拭って
いつものように首を傾げた。




「武士というのはそんなものです」



その笑顔に山南さんが、久坂さんがうつって

私は視線をそらした。



みんなみんな、最期は自分の誠を通して死んでしまうんだ。





< 422 / 565 >

この作品をシェア

pagetop