忘れられない人
『ひ、陽菜!?』

今までに見たことのない陽菜の様子に、龍二は少し驚いていた。

『龍二は私の本当の姿をまだ知らないんだよ‥それを知ったら‥嫌いになるかもね?』

そう言いながら、右手で龍二の両手を押さえた。

『嫌いになんて‥‥んっ!!』

耳を軽く噛むと龍二が少し仰け反った。

『どうかな?今までの私は‥本当の私じゃないの。龍二に嫌われたくない‥そんな想いから作り出されたもう一人の私。本当の私はもっとわがままで自分勝手な女なの‥』


ばーか。それは俺も同じ想いだよ。

陽菜を抑えるために、まずは唇で口を塞いだ。そして陽菜が感じている間に俺と陽菜の立ち位置を逆にした。

『じゃあ、俺からも言わせて貰うけど‥陽菜だって本当の俺の姿を知ったら幻滅するかもな?』

『私は‥』

そう言い掛けたとき、俺もさっきの陽菜にされたのと同じように、右手で両手を掴んで抑えた。

『本当の俺は、お前が思っているよりも嫉妬深くて、独占欲が強くて、めちゃくちゃH
だって知ってたか?』

返事をする前に無理矢理陽菜の唇を奪い、声を出ない様にした。俺の呼吸を整える為に少しの間、唇を離した。陽菜は、返事を返すことより息をするのに必死で声が出ないようだ。

俺がゆっくりと近づいていくとビクッと体が反応し、目を瞑って俺を見ようとはしない。正直‥面白くない。

だから俺は、陽菜のおでこに軽く触れるくらいのキスをした。すると、思ったとおりゆっくりと目を開けてくれた。漸く陽菜の目が合って思わず微笑んだ。


『昨日の続き‥したいんですけど。俺の部屋に来ますか?』

陽菜は笑いながら俺の胸に顔を埋めた。

『‥連れて行ってください』

俺はクスッと一度笑ってから、軽々と陽菜を抱きかかえてベッドまで連れて行った。
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