ボスを継いだ少女
だが、お腹にメスが触れた瞬間、メスが消えた。






「ヨシト、能力を使ったの…」







「いいや、使ってない…」






私は『神山ミコト』を見た。






「僕の負けだ…」






「どうして…」






「辻本は負けを言わない」






「…」






「最初は負けを認めよとしていたけど、仲間が現れたら負けることが許されないと感じたんでしょ。
それにその人の命を取るようなことでもない」






「ミコト…」






「いいんだ。僕の負けだ。それが結果なんだ」






「ミコトはそれでいいの」






「いいんだ。人が死ぬのを見たくないんだ」






「でも、戦争には協力する」






「大丈夫。人は誰も殺さない。うまくやるさ」






「なんで、あなたは伊藤と共に行動をするの」






「『仲間』だから。伊藤が望む世界を変えることなんて僕にとってはどうでもいいことだけど僕は伊藤からもらった大切な仲間を守りたい」






「なら、伊藤を止めればいいじゃない」






「この世界はおかしいと感じたことはある」






「なによそれ」






「アカネ…何の話をしているんだ」






「僕は一度感じたんだ。きっと伊藤はそれを直そうとしているんだ」






「矛盾してるわ。
ミコトは世界を変えることに興味はないけど世界がおかしいと感じている。
だから伊藤の手伝いをしているんじゃないの」






「僕は世界を変える気がない。
ただ、伊藤とナナミ、辻本、山本がいるならそれでいい」






「つまり、伊藤の望むことや世界のことなんかよりも『C』が大切だっていうの」









「そうだよ」
< 46 / 102 >

この作品をシェア

pagetop