カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜
「‥全てから逃げ出したくなったんだ、俺。」


「ヒロのところに行って、毎晩飲み明かした。」


「だって家に帰れば、何も知らない兄貴と俺の元カノが楽しそうに笑ってんだぜ?」


「やり切れなかったんだ」と言って、サトシくんはまたワインを飲み干した。


「俺、何のために弁護士目指してたのかわからなくなってさ。」


「早く社会に出て、彼女を幸せにしてやりたかったから‥だから弁護士を目指してたんじゃないかってな。」


「そんなヤツに弁護士の資格なんてないだろ?」


サトシくんが悲しそうに笑う。
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