1985

俺の人生は俺が決める

隣の中学だったチャップは同じバスだった。

以外に話は弾んだ、と言うよりチャップが一方的に喋ってた。

「実は兄貴おらんねん、俺一人っ子やねん。」とか「あの女ヤバない?」とか「ピアスが痛い。」とか。

そんな話をしながら不意にチャップが質問してきた。

「タクって将来やりたい事あるん?」

一番困る質問を俺は素直に

「まだ無いで!」

と答えた。

チャップが驚いた顔で喋り始めた。

「タク人生に2回目は無いで!自分という一人の人間にぶっとい芯が無いと社会に流されてまうで!」

出会ってから数時間の俺にチャップは熱く語りだした。

「ないんやったら、俺と夢叶えようや!俺は将来会社をもって自分の城を作る、金持ちになるんも夢やけどその金で夢すら見られん人に夢を見せたるんや!世界中の人に夢を見さすんが俺の夢や!」

見た目とのギャップに俺は周りの目など気にせずチャップのキラキラしたアホで真っ直ぐな話に引き込まれて行った。

「ほな、また明日!」

あっという間に家に着き、心の底の方から熱い物が込みあげてくる気がした!

今までなんとなく生きてきた事を後悔した。

「俺まだ16歳やん!」

若くしてやりたい事のない自分に語りかけた。

この日から少しずつ何かが変わりだした。
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